おばあちゃんの世界

私のおばあちゃんは、一人暮らしをしていました。
私が高校生の時におじいちゃんが亡くなって、それからずっと一人暮らしをしていたのです。
おばあちゃんには、私の母以外に子供が三人いました。
女三人に男一人です。
おばあちゃんは長男であるおじさんの家に行きたかったようですが、おじさんの奥さんと仲が悪くて結局一人暮らしをしていました。
でも、おばあちゃんの家にはいつも子供や孫がいました。
それに、おばあちゃんは植物を育てるのがすきなので、よく庭をいじっていました。
私にとっておばあちゃんはいつも楽しそうに暮らしているように見えました。
ところが、おじいちゃんが亡くなって五年後におばあちゃんは病気で左半分の体に麻痺が残ってしまいました。
体の不自由なおばあちゃんを一人暮らしさせておくわけにはいかないということになり、おじさんの家で一緒にくらすことになりました。
おじさんの家にはやはりみんな今までのように気兼ねなく訪れることができなくて、だんだんとおばあちゃんとは疎遠になっていきました。
私も、プライベートでも仕事でも忙しい日々を送っていたのでおばあちゃんのところにはなかなかいかなくなってしまいました。
おばあちゃんはきっと寂しかったのだと思います。
おじさんの家は、おじさんとおばさんしかいませんでした。
子供は三人いたのですが、みんな大学の時に県外を出てそのまま就職したので家には住んでいなかったのです。
おばさんとは仲が良くないので必要以上の会話はなかったようです。

おじさんもあまりおばあちゃんとは会話がなかったようです。
おじさんの家では庭が小さいので、大好きな庭いじりもできなかったようです。
おばあちゃんは、体が不自由だったこともあり外出をあまりせずに家の中でテレビを見てすごしていたそうです。
そんなおばあちゃんがだんだんとおかしなことを言い出したとおじさんから母に電話がありました。
はじめは、ご飯を食べていないと科、置いてあったお財布がなくなっているとかだったそうです。
でも、だんだんと会いに行った母のことがわからなかったり、おじさんのこともおばさんのこともわからなくなってしまいました。
母は、あなただあれって聞くおばあちゃんを見て、帰り道泣いていました。
もちろん、私のことなど覚えていませんでした。
おばさんのことをあの人は怖い、怒ってばかりいるといっていました。
おばあちゃんの面倒を見てくれていたのはおばさんです。
いうことを聞かないおばあちゃんにおばさんがイライラしたとしても誰も文句は言えなかったでしょう。
でも、怖い怖いというおばあちゃんはまるで子供のようでした。
その時、おばあちゃんは私の知っているおばあちゃんではなくて、違う世界にいってしまったんだなって思いました。